2016年は、プライシング(pricing)に関わる大きなニュースがありました。強気の拡大戦略で世界中に店舗を拡大したファーストリテイリングの ユニクロ事業が、値上げによる客離れで、大幅な減益となり、会長兼社長の柳井氏が、価格戦略の失敗を認めました。また、創業一族のトラブルも絡んだ、大塚家具が、会員路線から撤退し、価格を下げたことにより、ブランド力が低下し、業績が悪化しました。
マーケティングにおいて、製品又はサービスの価格を決める、プライシングは、大変重要なことであり、どのような要因に左右されるのかを理解することが必要です。アメリカの経済学者、フィリップ・コトラーは、要因を次のように分けています。
上記に挙げた要因の他に、カスタマー・バリュー(customer value)という、商品・サービスに対する顧客の価値観もプライシングの重要な因子です。カスタマー・バリューとは、 「商品である物・サービスから顧客が得たいこと、そして、そのためには、どれだけ払えるのか」ということです。
今回のユニクロ事業の価格戦略の失敗の一つの原因は、このカスタマー・バリューの判断ミスがあったと思われます。買い手側には、商品に対して、期待感があり、その期待感が満足されれば、 適正な価格と判断します。しかしながら、製品に対する期待感、すなわち、価値観が変わらないのに、製品の価格が値上げされると、買い手側は、買い渋ることになります。